『自然治癒力は増えも減りもしない、ただ妨害されるだけ。』 これがカイロプラクティックにおける自然治癒力の見解です。 ※椎骨のズレが脳からの神経伝達に干渉・妨害を引き起こします。(これをサブラクセイションと呼びます。) 但し、神経細胞の電気的な情報伝達や神経伝達物質のことではありません。 東洋医学では身体に経絡という気の通り道があり、気の流れが滞ると病気になるという考えがあります。 ヨガ、インド伝承医学では身体を維持する生命エネルギーをプラーナと呼びます。 カイロプラクティックにも生命エネルギーの呼称がありますが、ブログではざっくり自然治癒力と書いていきます。 カイロプラクティックでは生命エネルギーの通り道を脳から背骨を通して全身へ広がる神経系と定義しています。 行うことは一つ。 脳と身体の繋ぎ目に生じた妨害を取り除くこと。 それが上部頸椎のアジャストメント。 ※鍼灸において経絡における気の滞りを良くするために鍼を打つのと同じように、 脳からの生命エネルギー(自然治癒力)の伝達妨害を取り除くために上部頸椎をアジャストします。 姿勢や歪みの矯正が本来の目的ではありません。 病名、症状は問いません。 アジャスト後は患者さん自身による身体の調整が始まります。 先月いらした患者さんの症例です。 現在初回から一か月経過しています。 79歳女性 4月25日 1回目の来院 アジャスト前とアジャスト40分後の姿勢変化 (許可を得て掲載させて頂きました。ありがとうございました。) アジャスト後の感想:お腹がよく動く。 4月27日 電話:よく眠れる様になった。時々頭が痛い。 4月29日 LINE: ・昨日、朝起きてから就寝まで後頭部、首回りにコリのような違和感がある。 ・歩くと斜め方向に進んでしまう。 ・時々、軽いめまいがある。 ※過ごし方のアドバイスをして次の来院まで様子を見て頂くことに。 5月9日 2回目の来院 ・上記のような症状はその日のみだった。※調整後の好転反応 ・翌日よりスムーズに歩けるようになる。(事故前の歩行に4か月ぶりに戻る。) ・同じ距離を歩くのに半分の時間で歩けた。 (今回は電車を乗り継ぎ一時間以上掛かる距離を付き添いの方なしでいらっしゃいました。) ・右肩辺りが一週間ほど痛かった。 ・便秘が解消した。 ・めまいは以前より軽くなっている。 ・事故で生じたピリピリした頭の傷の痛みが消えた。 ・昨日首に痛みがあったが今日はそうでもない。 ※状態は総体的に良い方へ向かっていましたが、検査の結果、アジャストしました。 5月30日 3回目の来院 ・めまいがなくなり調子良く過ごしている。 ・動悸、不整脈もない。血圧も正常。 ・家族から前より楽にすっきり立っていると言われた。 ※検査結果も良いのでノーアジャストで終了。次回以降は体調を見て連絡を頂くことに。 初回アジャスト前と約一か月後の姿勢変化 ポイント)
自然治癒力による身体の調整は必ずしもアジャスト後すぐに変化が見られるわけではなく、傷の塞がりと同様、時間が必要です。 また身体の特定の部分ではなく全身に影響します。 主訴であるめまいの治療のためではなく、自然治癒力による(事故後の身体からの)回復を促す為にアジャストします。 結果、こちらの患者さんの場合は便秘の解消など他にも改善が見られました。 カルテに書いていないこと、聞いていないことをアジャスト後しばらくしてから良くなったと報告を受けることが多いです。 これが対症療法との一番の違いです。 解説) 追突事故におけるムチ打ち症。スポーツで強い衝撃が加わったようなケース。 階段からの落下や尻もち。打撲、打ち身など、日常生活における怪我は数え切れません。 時間と共に怪我の痛みが消えると治ったと安心するかもしれませんが、 衝撃により生じた上部頸椎のズレが放置されたままの場合があります。 いつの日からか頭痛に悩まされる、気分が塞ぎ込みがちになるなど、 事故や怪我とは直接結びつかないような症状に悩まされることがあります。 MRIなどの検査で特に異常が認められない場合は、 頭痛薬や安定剤に頼りがちの生活になる前に、 今回の症例と上部頸椎のことを思い出して頂ければと思います。 そして一刻も早く妨害を取り除き、本来の自分を取り戻してください。 Nature needs no help, just no interference. 元々、鍼灸やマッサージの国家資格を取って治療室を営んでいました。 なるべく薬に頼らず健康を維持できる方法を学び、人様の役に立てればという気持ちで始めたのです。 『身体には自ら治す自然治癒力という力が備わっている。』 そのフレーズにとても魅力を感じていたことを覚えています。 1991年10月1日にアパートの一室で開業しました。 4か月後に建て替えで取り壊すという理由で礼金、敷金なしで借りることが出来ました。 23歳の私にはそれが開業に踏み切れた大きな理由でした。この時のことは今でも感謝しています。 当時は実家暮らしでしたので、4か月間で貯めたお金で次の物件に移りました。 その後2回治療室を移転して、患者さんも定着したのですが、 なんだか心に引っかかるものがありました。 ・それは自然治癒力とは何かということ。 ・どのように身体に働いているのかということ。 ・自分が施す治療がどのように治癒力に影響しているのかということ。 ・治療により自然治癒力が増えているのか、活性化しているのか、引き出せているのか。 つまり自然治癒力が何かはっきりとしないまま、治療を続けていたのです。 唯一目安にしていたことは患者さんの感想でした。 色々な治療セミナーや勉強会にも行きました。 でも大半が腰痛の治療というように、症状に合わせたテクニックを学ぶ場でした。 そんな中、友人が首一箇所しか調整しないカイロがあると教えてくれました。 首、カイロと聞いてまず危なくないのかと思いました。 しかも、どのような症状に対しても首しか調整しないということに疑問を持ちました。 痛い部分だけではなく、全身を診るべきという考えで毎日治療をしていましたから。 当時の私もそうでしたから、初めての方が半信半疑なのは当たり前だと思います。 そしてすっかり、その首一箇所のカイロのことも忘れていました。 その後何年くらい経ったでしょうか、 治療を学ぶ中で頭と首の繋ぎ目(後頭果)の施術に手応えを感じていました。 また直観的にここには何かあると感じていました。 そんな時、ふと友人が教えてくれた首一箇所しか調整しないカイロを思い出したのです。 そして改めて考えました。 ・首一箇所のみの調整が全く効果のないものだとしたら、そもそも職業として成り立たないのではないだろうか。 ・ましてや首の調整自体にリスクがあるとしたら、これまた職業として存続しないだろう。 ・さらに言うと、首一箇所のみの調整なのだから、症状に対してのテクニックではない。 ・ということは、これまで長年追い続けていた自然治癒力による回復を促す為の調整ということではないか。 そう思うとじっとしていられません。 直ぐに受けに行きました。 アジャスト後すぐに身体が熱くなり、身体の中に何かが流れている感じがしました。 これは初めての体験でした。首一箇所でこんなに体感するのかと感動を覚えました。 只、自分が上部頸椎カイロを実践して分かったのですが、体感は個人差があり、何も感じない人もいます。 そして何よりも説得力があったのが、 検査で客観的に状態を確認できるということ。 患者さんの感想のみを施術の効果の判断としていた当時の自分には目から鱗でした。 状態の良し悪しは患者さんの感想を聞いて判断するのではなく、 検査を通して施術者が患者さんに伝えることなのだと。 上部頸椎カイロプラクティックを学び、 2001年10月1日に屋号、業態を変え、 上部頸椎カイロプラクティックをスタートしました。 保健所に廃業届を提出しに行った時、 なんで国家資格を捨ててまでという顔をされていましたが、迷いはありませんでした。 取り壊すアパートの一室で治療室を始めた時から丁度10年目のことでした。 このブログではその後の20年、 上部頸椎カイロプラクティックを実践してきて経験したこと、 患者さんに教えられたこと、そして日々の中で気づいたことなどを書いていこう思います。 どうぞ宜しくお願いします。 |