1955年に出版されたBJパーマーの書籍「カイロプラクティック 哲学・科学・芸術」、 第41章「カイロプラクティックはイネイトを必要とするか?」の一節にはこのように書かれています。 イネイトを無視することは、サブラクセイションの事実を医学的に取り扱うのと同じことであり、よく言われるように「背骨をポンと叩いたり」、「神経を刺激し抑制する」くらいのことに終わってしまうのです。 ※サブラクセイションとは椎骨の変位による神経伝達妨害のことです。本来カイロプラクティックの目的は病気や症状の治療ではなく、サブラクセイションをアジャストメントで取り除くこと。上部頸椎カイロプラクティックではメジャーのサブラクセイションを上部頸椎と断定し、いかなるケースにおいてもでも第1頸椎、第2頸椎のいずれか一箇所しかアジャストしません。アジャストメントにてサブラクセイションが取り除かれるとイネイトが身体の調整を始めます。 サブラクセイションの事実を医学的に取り扱う とは 例えば 椎骨の変位により神経根が圧迫を受けている。椎間板変性が進んでいる。 →それが痺れの原因です。 または頸部の筋肉が緊張している。 →それが頭痛の原因です。 というようなことであり、その為にアジャストメントを使うことです。 結果は出ると思いますが、BJ曰く「そんな事じゃない。」ということなんでしょう。 そして「背骨をポンと叩いたり」、「神経を刺激し抑制する」くらいのことに終わってしまうのです。 アジャストメントは症状を取るために行うのではなく、イネイト(治癒力)が存分に発動するために行います。
引用:「カイロプラクティック 哲学・科学・芸術」 BJパーマー著 賀来史同監訳 自然を辞書で調べると 他の力に依存せず、自らの内に生成・変化・消滅の原理を有するもの。 とあります。 上部頸椎カイロプラクティックの創始者BJパーマーも Nature needs no help. 自然は助けを必要としない。 と唱えています。 正確に言うと Nature needs no help, just no interference. interference(干渉、妨害)が無い状態であるならば、自然は助けを必要としない。 上部頸椎カイロプラクティックはこの一言で言い表せます。 上部頸椎の自覚のない僅かな変位により 脳から神経系を通して全身へ流れるイネイト(生命エネルギー)が干渉を受けています。 その状態で過ごしている結果が現在の体調です。 やるべきことは、現在の体調を事細かく聞いて病気や症状の治療をすることではなく、 上部頸椎をアジャストして一刻も早くinterference(干渉、妨害)を取り除くことです。 例えば、清流の川の上流に堰が出来て本来の流れが変わったとします。 次第に下流では水が澱み始め、ヘドロが湧き、悪臭を放つようになりました。 下流の住民は上流でinterference(干渉、妨害)が起きていることを知りません。 住民が気になるのはヘドロと悪臭という症状です。 定期的なヘドロを除去する作業、薬品の散布が必要となります。 結果に対してのアプローチ、これを対症療法と言います。 原因は上流に出来た堰による川の流れです。 本来の川の流れに戻れば、自ずとヘドロは消え悪臭もなくなるでしょう。 なぜなら自然とは 他の力に依存せず、自らの内に生成・変化・消滅の原理を有するもの。 だからです。 上部頸椎カイロプラクティックで行うことも上記した川の問題と同じです。
自然から授かった身体には同様の法則が働いています。 そして忘れてはならないことは時間の経過です。 川の汚染度と同様、身体の回復もそれなりに時間を要します。 私たちはそれを受け入れなければなりません。 自然に任せるとはそういうことです。 disease(ディジーズ):病気 dis-ease(ディス・イーズ):楽でない状態 上部頸椎カイロプラクティックの対象は特定の病気や症状ではなく、 ディス・イーズと呼ばれる身体が楽でない状態です。 上部頸椎の変位によりサブラクセイション(脳からの神経伝達妨害)がある 状態で過ごすことがディス・イーズに繋がります。 故に患者さんが訴える症状を楽にする治療ではなく、 身体が楽でない状態から解放することがアジャストメントの目的です。 楽にする為の治療 楽でない状態から解放する為の調整 これらは似て非なることです。 色々な治療法がありますが、 多くは症状緩和、楽にする為の方法(薬も含めて)が多いと思います。 楽を求めるのではなく、楽でない状態から脱け出すのです。 ウエイトリフティング(重量挙げ)における首の使い方に着目すると、 ■バーを挙げる時は顎を少し上げます。 下を向いたまま挙げる人は見たことありません。 ■反対に頭上で肘を伸ばしてバーをキープする時は顎を引きます。 これらの首の使い方から ■首の伸展(上を向く):力、動き、勢い、補助 ■首の屈曲(下を向く):固定、安定、維持 と捉えることが出来ます。 応用 ■腰痛時は立ち上がる際に少し上を向いてゆっくり立つ。 ■パソコン作業時は顎を引く。 ウエイトリフティングに関わらず、スポーツや長年受け継がれてきた仕事の動作は
負担が掛からず最大限に能力が発揮できる合理的な身体の使い方がされています。 ヒントを探して日常動作に応用することも面白いですよ。 |