先天的知能と後天的知能 私たちは二つの知能を持っています。 教育、学習、情報、経験を通して得たものを後天的知能と言い、 英語で educated brain(教育された脳)と呼びます。 後天的知能が備わっていないと社会生活は送れませんし、 キーボードを打ち文章を書くことも出来ません。 後天的知能の特徴は誤りがあるということ。 常識もその時代により変わり、 上部頸椎カイロプラクティックの創始者BJパーマーは 「常識は常でない。」と述べています。 一方、先天的知能とは文字通り生まれながらにして備わった知能のこと。 英語で innate intelligence (イネイトインテリジェンス)、 略してイネイトと呼ばれています。 人生のスタートである誕生日。 その10か月前に生命体としてのあなたはスタートしています。 誰にも気付かれていない受精卵。 紛れもないあなた自身です。 この一つの細胞に命が宿っています。 イネイトです。 その内なる叡智は細胞分裂を繰り返し、 誕生日に向けてあなたの人生の準備をしています。 イネイトは産声と共に消えるわけではありません。 幼年期、思春期、青年期、壮年期、老年期。 ずっとあなたに内在し陰から支えています。 誰もが避けることの出来ない死こそがイネイトが役目を終える時です。 BJパーマーは言いました。 The power that made the body heals the body. 身体を創った力が身体を治す。 治すのはアジャストする私ではなく、あなたのイネイトです。 それは脳幹に宿る イネイトは人類だけが得た叡智ではありません。 脳を大きく分けると、 表層にあるのが、大脳新皮質。 理性を司っている人間脳です。 その内側に大脳辺縁系。 本能を司っている哺乳類脳です。 そして最深部にあるのが脳幹。 役割は生命維持で爬虫類脳、古代脳と言われています。 イネイトは脳幹に宿り神経系を通して一生の間、 上から下へ、内から外 above down inside out に向けてイネイト(フォース)を流し、私たちを生かしています。 上部頸椎カイロプラクティックは7つある頸椎のうち、一箇所しかアジャストしません。 首の痛みや病院で頸椎に問題があると診断されたからアジャストするわけではなく、 イネイトの流れの妨害を取ることが目的です。その後はイネイトに治療を委ねます。 上部頸椎カイロを受けられた後に時々あることですが、 誰にも言っていないことやカルテに記入していないことが良くなったと言われることがあります。 施術者は知らなくてもイネイトは知っているからです。 すっかり忘れていた過去の怪我にでる反応や閉経後の月経など起こることは様々。 これらもまたイネイトによる身体の調整です。 ですので、正直な話。 いつ頃治るのか、どのような反応が出るのかは あなたのイネイトが決めることなので私には分かりません。 検査を通してアジャストをするかしないかの判断をします。 患者さんに横向きに寝て頂いて上部頸椎をアジャストします。 それからイネイトによるアジャスト innate adjustment が始まります。 このようなスタンスですので一般的な治療とは大きく違います。 初回でしっかり説明し、納得された方のみに受けて頂いております。 イネイトを簡単にまとめました。 あくまで学びや経験から得た私の後天的知能 により書いたものなので誤りがあるかもしれません。 この概念を知ったばかりの時は、馬鹿の一つ覚えのように イネイトを熱く語っていました。 経験を重ねるうちに科学的に反証出来ないことを伝えることに 少し躊躇するようになり、意味を変えずに違った表現を探すようになりました。 しかしそれは私の後天的知能がさせていたことに気付きました。 これからは再びイネイト、先天的知能と声に出して伝えようと、 初回の患者さんへの説明用スライドを一枚足しました。 就学前の子どもが手本 イネイトは身体における治癒システムのみの話ではありません。 教育を受ける前の子どもは100%イネイトに従って生きています。 得体のしれない薬は吐き出し、注射を嫌がります。 締め付けの強い服を嫌い、裸足で外に飛び出します。 思いの向くまま自由に絵を描く芸術家です。 私たちは後天的知能に支配され情報化社会に生きていますが、 時折イネイトから送られるインスピレーションを大事にしたいですね。 最後に好きなCMを貼っておきます。 いずれも教育された脳に侵されず、イネイトのまま生き、人間を前進させた人たちです。 体調を左右する自律神経 自律神経。 一言で言うと自分の意思に関係なく身体を調整している神経。 心拍や血圧を自分の思うようにコントロールすることは出来ません。 睡眠時も呼吸、血液循環、内臓も自分の意思に関係なく働いています。 自律神経は交感神経と副交感神経から成り、 状況に応じて、どちらかが優位になって働くことが特徴。 活動時は交感神経、リラックス時は副交感神経が優位になります。 例えば危険を察知して、その場から逃げようとします。 この時、身体は交感神経支配にあり心拍が速くなります。 反対に心拍が速い状態(交感神経が高ぶったまま)では中々寝付けません。 この自動調整が上手くいかない日々が続き体調を崩すことがあります。 自律神経障害、自律神経失調症、自律神経の乱れと診断され、 症状に応じて睡眠薬、安定剤などが処方されます。 そのような方への一つのヒントとして 自律神経と上部頸椎について書いていきます。 脱・交感神経緊張 例えば危険生物が生息するジャングルを移動しているとします。 いつどこで襲われるか分からない、咄嗟に逃げる為に交感神経が常に緊張した状態。 幸い私たちは危険生物から逃げることを前提とした日常は送っていません。 逃げるというより、むしろ追われているのかもしれませんね。 時間に追われ、仕事に追われ、支払いに追われ。 不安感や焦燥感を抱え過ごしている方も少なくないでしょう。 ある程度のプレッシャー、責任感からくるストレスというような 多少交感神経が優位な状態はむしろ必要です。 問題は持続的な強いストレスを抱えての生活。 それはある意味ジャングルと同じではないでしょうか。 頭痛、肩こり、倦怠感、不眠、めまい、胃腸の不具合、 挙げると切りがないですが、ほぼほぼ交感神経の緊張が招いた結果です。 頭痛が増えてきた、眠りにつくのが悪くなってきたと感じることは一つの指標。 そのような理由で上部頸椎のチェックにみえる方がいらっしゃいます。 上部頸椎アジャスト後の感想ベスト5 ■ポカポカして温かい ■呼吸が深くなった ■緊張がほぐれた ■お腹がよく動く ■リラックス出来た 上部頸椎のアジャスト後、休息ブースで40分寝ていただきます。 起こす際に「何か感じることはありますか。」と尋ねますと多い答えが上記の5つ。 これらの反応には明確な理由があります。 上部頸椎のアジャスト後、副交感神経が優位になることが多い
理由 交感神経の中枢は脊髄にあります。 一方、副交感神経の中枢は脳幹(中脳・橋・延髄)と仙髄。 各々が内臓や器官に繋がっています。 上部頸椎領域に副交感神経の中枢である延髄の尾側が収まっています。 ※上部頸椎カイロプラクティックでは、 症状から推測して副交感神経を優位にするためにアジャストすることはありません。 病名・症状関係なく、自然治癒力による回復を促す為にアジャストします。 上記5つのアジャスト後の感想を言われるすべての方が 自律神経が乱れているわけではありませんが、 多くの方が交感神経が緊張傾向にあると推測しています。 温度は検査で視覚的に確認できます。 右図がアジャスト前、左図がアジャスト後。 温度が低い部分はブルーバーの横幅が短く、高い部分は長く表示されます。 アジャスト後は血管が拡張し血行が良くなり温度が上昇していることが分かります。 寝ていたから温度が上がったのではと言われる方もいますが、 自律神経が調整される過程において「アジャスト後に寒くなり時間と共に温かくなってきた。」 「寒さと温かさを交互に繰り返す。」と感じることは様々でアジャスト40分後の時点では温度が下がっている方もいます。 自律神経と免疫
身体に入ってきた病原菌から身体を守る免疫細胞が白血球です。 自律神経が血液中の白血球に深く関与していることは広く知られています。 持続的なストレスにより交感神経が優位な状態が長く続くと白血球内の顆粒球の比率が上昇します。 顆粒球が多いと癌や胃潰瘍になりやすくなると言われています。 また副交感神経が優位になるとリンパ球の比率が上がります。 白血球内の顆粒球とリンパ球の比率はおよそ6:4。 このバランスがウイルスなどから身を守る免疫が最大限に発揮できるそうです。 日々どのような状態で過ごすかということが重要 はっきり言いましょう。 毎日入ってくるメディアからの情報、これが良くない。 交感神経緊張の大きな要因です。 がっかりする気持ち、またかという思い、いつまで続くのかという不安。 ここ数年私も何度もその思いを繰り返しています。 でもそれでイライラして損するのは自分だということも分かっています。 ストレスで呼吸が疎かになっていませんか。 一様に呼吸が浅くなります。 長くゆっくり吐きましょう。 兎にも角にもストレスで疲労した身体を時々副交感神経を優位にし、 交感神経緊張の状況をリセットすることが重要と考えています。 ※特に夜勤等で生活リズムが不規則な方 当初の目的とは関係なく、 気付いたら平時の体温が35度台から36度台に上がったと喜ばれる方(女性に多い)がいらっしゃいます。 このようなことは症状云々の話ではなく、身体が変わってきたという証明。 ■ストレスなど → 交感神経優位 → 血管収縮 → 血流低下 → 体温が低い ■上部頸椎をアジャスト → 副交感神経優位 → 血管拡張 → 血流上昇 → 体温が上がった 私が自然治癒力による回復を促す為のアジャストメントを実感する時でもあります。 1.仰向けになり 2.頭から踵まで直線になる様に意識し位置を決め 3.顔を持ち上げて足の位置を確認します。 ほとんどの人が自分の想定通りの位置に足があると思いますが、 左右どちらかに位置している方もいます。 只、本人はそのような自覚はなく自然な状態です。 きっかけ レッグチェックという左右の足の長短差を確認する検査があります。 患者さんに真っすぐ寝て頂き、 その正中線上に立ち、視線に偏りが起きないように検査します。 上部頸椎カイロプラクティックを始めたばかりの時、 「寝方が雑だなぁ。」と感じる人がいました。 斜めに寝ていたり、足が左右どちらかに流れていたり。 「失礼します。」と一声掛け、 骨盤や脚を動かしてポジションを修正します。 ある日、その日も同じように修正していると、 「なんか曲がって寝てる感じなんですけど。」との声。 そこで 「では自分が曲がっていない感じで寝てみて下さい。」と伝えると、 なんと修正前のポジションに戻るではないですか。 確認してもらうと本人も驚かれていました。 決して寝方が雑な訳ではなく、真っすぐに寝ているつもりだったんですね。 それから同じような人が結構いることに気付いたんです。 いつも痛くなるのは右 「首、腕、背中、腰から脚まで。ぜんぶ右が痛い。」 「疲れるといつも左半身が辛くなる。」 と言われる方がいます。 全員ではないですが上記した寝方の方がいます。 自覚のないまま常に左右どちらかに負担を掛けて生活していることが想像できます。 アジャスト前後に確認してもらう このような寝方の方には、仰向け時に真っすぐを意識して寝てもらい、 前もって顔を上げて足の位置を確認して頂いています。 上部頸椎をアジャストして休息ベッドで40分間仰向けで休んで頂いた後に 同様に確認してもらいます。 想定した位置に足があれば、首と身体の関係に納得されるでしょう。 首のロックを解除する 例えば立位時に ・首が少し右に傾き、 ・右肩が下がっている、 ・パンツのポケットの位置も右が下 ・骨盤は左に寄っていて、左側のポケットが前にある ・左膝の方が少し前に出ている というようにその人特有の姿勢があります。 身体は左右対称でないとはいえ、 上部頸椎のズレの代償として頭を支えるために 無意識でそのような姿勢を取っているケースは多いです。 長年このような姿勢で過ごしている人はそれが標準仕様になっており、 本人も周りの人もあまり気にしません。 只、年月が経つと身体に何らかの形でしわ寄せが来ます。 上部頸椎のズレによりある方向への首の動きが制限されています。 アジャストでその制限が解除されれば、 自分の想定通りに仰向けで寝れるようになります。 ※骨の変形などの場合は除きます。 肩甲骨の内側に痛みや違和感がある人は少なくありません。 長時間同一姿勢の作業や運動中など様々なシチュエーションで発症します。 今回は上部頸椎と肩甲骨を結ぶ二つの筋肉から肩甲骨内側の痛みのヒントについて書いていきます。 肩甲挙筋(けんこうきょきん) 起始:第1~第4頚椎の横突起 停止:肩甲骨上角とこれに続く肩甲骨内側縁 頚板状筋(けいばんじょうきん) 起始:第3~第6胸椎の棘突起 停止:第1~第3頚椎の横突起 解説 肩甲挙筋では起始、頚板状筋は停止が上部頸椎です。 言い換えると、肩甲骨内側の痛みや違和感は 上部頸椎のズレにより付着している筋肉が緊張状態にあることを脳に伝えている結果とも言えます。 ※上部頸椎がズレると必ず肩甲骨の内側に痛みが出るということではありません。 注)肩甲骨周辺の痛みは心筋梗塞などでも現れます。尋常でない場合は直ぐに医療機関へ。 身体の調整は脳からの神経伝達に任せる
肩甲骨が接する骨は鎖骨のみで、 あるべき位置を維持するよう働いているのは周囲の筋肉です。 筋肉の調整は神経が行っています。 身体は左右対称ではないので、 左右の高さが揃わないといけない訳ではありません。 勿論、肩甲骨も一つ一つの椎骨も正確な位置は施術者にはわかりません。 身体のことは唯一本人の脳が知っています。 自然治癒力による回復を促す為のアジャストメント 上部頸椎のアジャストメントにより 脳からの神経伝達が良くなることで身体の調整が行われます。 肩甲骨の症状はその一部。 回復の条件が整えば、あとは時の流れに委ねます。 次第に気にならなくなり、いつの間にか忘れていることが多いです。 |